ゼブラ経営とは?
ユニコーン企業との違いと、今注目される理由
30年近く経営を続けて、最近知った言葉に感じたこと
最近、「ゼブラ経営」という言葉を知りました。
私は個人事業主の時代を含めると、30年以上経営を続けていますが、この言葉を知ったのは本当に最近のことです。
最初は「ゼブラ? シマウマ?」という程度の認識でした。
調べてみると、世界では今、この「ゼブラ経営」という考え方が注目されていることを知りました。
そして読み進めるうちに、私はあることを感じました。
「私が30年近く続けてきた経営と、
少し重なる部分があるかもしれない。」
今日は、ゼブラ経営とはどのような考え方なのか、そして私が共感した理由についてお話ししたいと思います。
ゼブラ経営とは?
ゼブラ経営(Zebra Company)とは、利益だけを追求するのではなく、社会への貢献や持続可能性も大切にしながら成長していく企業のあり方です。
この考え方は、2017年にアメリカで女性起業家たちが立ち上げた「Zebras Unite」というムーブメントから広まりました。
当時、スタートアップ業界では「ユニコーン企業」が成功の象徴として注目されていました。
ユニコーン企業とは、創業から短期間で企業価値10億ドル以上に成長した未上場企業のことです。急速な成長を目指し、多額の投資を受け、市場を一気に拡大していくことを特徴としています。
もちろん、ユニコーン企業が悪いということではありません。世界を大きく変える革新的な企業が数多く誕生しているのも事実です。
しかし、その一方で、
「企業は急成長することだけが成功なのだろうか。」
「社会に必要とされながら、長く続く会社にも価値があるのではないか。」
そんな問いから生まれたのが、ゼブラ経営という考え方です。
なぜ「ゼブラ」なのでしょうか?
ユニコーンは想像上の生き物です。一方、ゼブラは現実に存在します。
さらにシマウマには象徴的な特徴があります。
群れで助け合いながら生きること。
一頭一頭、縞模様が違うこと。
競争だけではなく共存。
画一的ではなく多様性。
短期的な利益だけではなく持続可能性。
そうした価値観を象徴する存在として、「ゼブラ」という名前が付けられました。
ユニコーン企業との違い
ゼブラ経営とユニコーン企業は、どちらが優れているという話ではありません。目指す未来が違います。
ユニコーン企業
- 急成長を目指す
- 企業価値を短期間で高める
- IPO(株式上場)やM&Aを目標にすることが多い
- 投資家からの資金調達を積極的に行う
ゼブラ経営
- 利益と社会性の両立を目指す
- 地域やコミュニティとの共生を大切にする
- 持続可能な成長を重視する
- 長く社会に必要とされる企業を目指す
どちらにも価値があります。大切なのは、自分たちがどんな会社を目指すのかということです。
日本で注目される理由
日本では人口減少や地方創生、女性起業家支援、SDGsなどが大きなテーマになっています。
その中で、「利益だけでは測れない企業価値」が見直されるようになりました。
地域で長く愛される会社。
社員や取引先、お客様と共に成長する会社。
社会課題を解決しながら利益も生み出す会社。
そうした企業が、これからの時代にはますます求められていくのではないでしょうか。
私が共感した理由
私はゼブラ経営という言葉を知ったのは最近です。ですから、「ゼブラ経営を目指して会社を経営してきた。」というわけではありません。
でも調べれば調べるほど、「これまで続けてきた考え方と重なる部分がある。」そう感じました。
私は会社を必要以上に大きくしたいと思ったことがありません。社員を何百人も抱えることを目標にしたこともありません。
その代わりに選んだのが、インストラクター制度です。社員として囲い込むのではなく、一人ひとりが地域で活躍し、自分の名前で仕事ができる人を育てる。
困ったときには助け合い、喜びは分かち合う。そんなコミュニティを全国に広げたいと思ってきました。
利益を否定しているわけではありません。会社を続けるためには利益は必要です。利益があるからこそ、お客様へ価値を届け続けることができます。
だから私は、利益か社会貢献か、という二者択一ではなく、
「利益を生みながら、人の幸せにも貢献する。」
そんな経営を目指してきました。
東洋思想にも通じる考え方
私は長年、東洋思想や五行を学び、教え、広めながら経営を続けてきました。
東洋思想では、何か一つだけを大きくするのではなく、「調和」や「循環」を大切にします。
木・火・土・金・水の五行も、それぞれが支え合うことで全体のバランスが生まれます。
企業も同じではないでしょうか。利益だけでも続きません。理念だけでも続きません。
人も、お客様も、地域も、会社も、それぞれが良い循環を生み出してこそ、長く続く経営になる。私はそう考えています。
だからこそ、ゼブラ経営という考え方には共感する部分がありました。
ゼブラもパンダも、白と黒
実は、ゼブラ経営について調べていて、もう一つ嬉しくなったことがあります。
ゼブラも白と黒。そして、私が昔から大好きなパンダも白と黒です。
もちろん、これは偶然かもしれません。でも東洋思想を学んできた私は、その色の組み合わせに、とても惹かれるものがありました。
白か黒か。
利益か社会貢献か。
会社か個人か。
勝ちか負けか。
私たちは、つい「どちらか一方」を選ぼうとしてしまいます。
しかし東洋思想では、陰と陽という相反するものが調和することで、世界は成り立つと考えます。
白だけではありません。
黒だけでもありません。
ゼブラもパンダも、その二つがあるからこそ美しい。
「黒字」という言葉があるように、私には黒は利益を、そして白は人や社会への貢献を象徴しているように感じられます。
企業も同じだと思うのです。利益だけでは長く続きません。理念だけでも続きません。
経済性と社会性。
成長と調和。
その両方があってこそ、本当に豊かな経営になる。だから私は、ゼブラという存在にも、そして大好きなパンダにも、不思議な親近感を覚えたのです。
「理解されなかった理由」に気づいた日
最近、私は自分が27年間続けてきた経営を、少し客観的に見直す機会がありました。
そこで、いくつかの統計を調べてみました。
30年間、会社を続けられる企業自体が極めて少ないこと。
創業した1999年前後は、女性経営者の割合も今よりずっと少なかったこと。
小規模な法人でありながら、休眠や清算をせずに続けてきたこと。
これらを重ね合わせると──あくまで複数の統計を参考にした、一つの推計にすぎませんが──
「約25万社に1社」
という、かなり希少な経営を続けてきた可能性があることが分かりました。
けれど、私が本当に伝えたいのは、この数字そのものではありません。
この数字を見たとき、私が一番強く感じたのは、
「だから私は、理解されなかったのかもしれない。」
ということでした。
これまで、
「もっと社員を増やした方がいい。」
「もっと店舗を出した方がいい。」
「もっと会社を大きくした方がいい。」
そんな言葉を、何度もいただいてきました。
そのたびに、「なぜ、この考え方は伝わらないんだろう。」と思うこともありました。
でも今なら、少し分かる気がします。
雇われて、守られながら働きたいと思うこと。それは、少しも間違ったことではありません。むしろ、とても自然なことです。
ただ、私が育てたかったのは、その先でした。
自分の名前で立ち、
自分の力で歩いていける人を、
一人でも多く増やしたかったのです。
でも最近「ゼブラ経営」という考え方を知り、利益だけでなく持続可能性や共生を大切にする経営が、世界であらためて注目されていることを知りました。
そのとき、
「あれ? 私が感覚で続けてきたことに、とても近い。」
と思ったのです。
もちろん、私はゼブラ経営を目指していたわけではありません。そんな言葉すら知りませんでした。ただ、自分が正しいと信じる経営を、続けてきただけです。
だから、「私が正しかった。」と言いたいわけではありません。
むしろ、
「自分では当たり前だと思っていたことは、
多くの人にとっては当たり前ではなかった。」
ということに、初めて気づいたのです。
理解されないことは、苦痛ではなく、仕方のないことだったのだと、今は思えます。
経営そのものを、変える必要はなかったのだと思います。
必要だったのはきっと、
私自身の経営を、説明するための言葉。
だったのかもしれません。
「ゼブラ経営」という言葉は、私の経営そのものではありません。それでも、27年間続けてきた歩みを説明する、一つのヒントになりました。
だからこそ、27年という歳月が必要だったのだと、今は思います。
目指していた想いは、最初からずっと同じでした。ただ、私自身がまだ未熟だった時期は、組織も、私自身も、単純に力が足りなかっただけなのだと思うのです。
だからこそ、今こうして一緒に歩んでくれているインストラクターの皆さんには、この気づきを踏まえた上で、本当に成功してほしいと願っています。
私が伝えたいのは、単なる「ゼブラ経営」という枠組みではありません。自分のビジネスを通じて、女性起業家を一人でも多く育てていきたい。それが、私の一番の願いです。
私が目指すのは「人が幸せになる経営」
ここは誤解のないようにお伝えしたいと思います。
私は流行の経営理論に会社を合わせるつもりはありません。
30年近く積み重ねてきた経営を振り返ったとき、「結果として重なる部分があった。」それだけです。
思えば、20年以上前にも同じようなことがありました。「アルカ、家にあるか?」というキャッチコピーで、アルカリ電解水を販売しようとしていたことがあります。今では無印良品でも扱われるほど身近になりましたが、当時はまだ時代が追いついていなかったのでしょう。先日、当時を知る友人にその話をしたところ、「時代より早いんだよね(苦笑)」と言われました。
振り返れば、私の経営スタイルもどうやら時代より早かったようです。それでも愚直に続けてきたことで、時代のほうが追いついてきてくれました。50代以上の女性、そして人生100年時代と言われる今だからこそ、自分で起業するという選択肢は、以前よりずっと広く受け入れられるようになった。そのことを、今あらためて実感しています。
だから私が目指しているのは、ゼブラ企業になることではありません。
人が幸せになり、その幸せが次の人へ循環していく。
そんな経営です。
もし「ゼブラ経営」という言葉が、その考え方を知るきっかけになるのであれば、とても嬉しく思います。
理解されるために経営を変えるのではなく、
理解される言葉を見つけることも、
経営者の仕事なのかもしれません。
そして私はこれからも、今日から始める「紫鳳ノート」を通して、30年近い経営の中で育まれてきた考え方を、一つずつ言葉にして残していきたいと思います。